みんプロ代表の独り放談

「21世紀型教育」と「『受験』というシステム」はそもそも矛盾している

2018年6月29日

 

2020年から大学入試のやり方をガラッと変えて、今までは「与えられた問題の正解を導きだせる人」を評価していたのを、これからは、何が正解かわからない時代だから、「自分の頭で考えて、自分で問題設定すら出来る人」を評価するシステムに変えようとしているようです。

これは、今までのシステムに慣れてきた私たち大人の側からすれば、まさに「コペルニクス的な転換」となるわけですが、ぼくはこの動きを、一度葬り去られた「ゆとり教育の復活」と見ています。

実は、「ゆとり教育」のそもそものエッセンスというのは、「21世紀型教育」そのもの、つまり「与えられた答えを導き出せる人ではなく、自分で考えて自分で問題設定すら出来る人」を評価するし、そういう人を育てる仕組みにするはずでした。

しかし、その試みはもろくも失敗し、再度「詰め込み教育重視」の方針へと転換されてしまいます。

では、なぜ「21世紀型教育」であったはずの「ゆとり教育」は失敗に終わってしまったのでしょうか。

 

ゆとり教育失敗の本当の原因

それまでは、問題を出す側が「問題もこたえも」決めて、それに合っているかどうかで評価する仕組み、つまり「結果」を評価する仕組みでした。

しかし、「ゆとり教育」が目指した「21世紀型教育」というのは、「そもそもこたえがない世界」あるいは「こたえが1つとは限らない世界」を想定しています。

そういう世界では「こたえ」という「結果」では、評価のしようがないので、そこに至った考え方などの「プロセス(過程)」で評価しないといけなくなる。

これが、まさに「コペルニクス的な転換」の正体なのです。

しかし、この「コペルニクス的な転換」に、教育を提供する側の大人(学校の先生だけではなく親も含めて)が全くついて来られずに、試みが頓挫してしまったというのが、「ゆとり教育」失敗の最大の原因だとぼくは見ています。

これは教育を提供する大人の側の問題であって、教育を受けるこどもたちの問題ではありません。

それをあたかも、大人たちが旧来のものさし(=学力)で子供たちの「結果」を測ってしまうという問題のすり替えを起こしてしまったがゆえに、旧来の「詰め込み教育」の方がええんやという、前近代的な方向に戻ってしまったのです(「全国統一学力テスト」などはその典型)。

しかし、この前近代的な「詰め込み教育」重視への路線回帰は、やっぱり駄目だったということを、国家そのものが認めているわけです。そうでなければ、こんなドラスティックな大学入試改革が行われるはずがないからです。

では、この大学入試改革は、はたして成功するでしょうか。

 

 

まず大人が意識を変えるところから始めないといけない

ぼくは今の状況ではなかなか難しいと考えています。

その理由は、この件はまさに「名前を変えた『ゆとり教育』の復活」であるわけですが、そうであるならば、「ゆとり教育」が失敗した原因について、大人たちがちゃんと反省して、大々的に意識を変えていく必要があるからです。

では、その「意識を変える」というのはどういうことなのか。

それは、これまでのような、みんなと同じものさし(=偏差値)で「評価する」のではなくて、「もともと特別なオンリーワン」であることをちゃんと「認める」ことが出来るのか、ということが問われているのだと思います。

しかし、「受験」というのは、どこまでいっても「人を選別するシステム」です。そして、「人を選別する」ためには、「こたえ」を用意しておかないと選別することができないのです。

つまり、「人を評価し選別する」ことを本質とする「受験」というシステムと、「もともと特別なオンリーワンな人たちと育てる」ことを目指す「21世紀型教育」というものは、そもそも矛盾しているということなのです。

従って、この根本的な矛盾が生じていることを鑑みると、「21世紀型教育」を「受験」というシステムで解きにいくのは、なかなか難しいのではないかと考えているのです。

そうは言いながら、前途多難ではあるものの、良い方向にまず一歩でも進み出したのは、非常によいことだと思いますので、子を持つ親として、当事者意識を持ちながら、形骸化しないように動向を見守っていきたいと思います。

 

 

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  • この記事を書いた人
北川 博之 (みんなのプログラミング by Telulu LLC 代表)

北川 博之(みんなのプログラミング by Telulu LLC 代表)

大阪府生まれ。京都大学経済学部経済学科卒業。2000年より、日本生命保険、ニッセイアセットマネジメント、パトナム・インベストメンツ(米国)で、日本株トレーダー・アナリスト、経営企画、システム開発等の業務に従事。主に日本株の売買執行・投資分析、経営計画の策定、海外投資家向け日本株営業、社内トレーディングシステム及び経理システムの開発等を行う。2016年、合同会社てるる設立。スマホアプリプログラマーとして「新感覚脳トレアプリ・記憶戦隊オボエルンジャー」「Meisoー1番シンプルなマインドフルネス瞑想アプリ」をはじめとした、メンタルヘルス・知育系アプリを中心に4タイトル・計8本(Android・iOS)をリリース。2017年、自身のこれまでの社会人経験・プログラミング経験・子育て経験を基に、プログラミングを通じて人々の人生を豊かにして、未来に希望の持てる明るい社会の実現に貢献したいとの想いから、プログラミング完全初心者と挫折経験のある人を支援する「プログラミング挫折撲滅プロジェクト・みんなのプログラミング by Telulu LLC」を設立し、プログラミングサポーター活動と心理カウンセリング活動を開始。これまでに2,000名を超える方のプログラミング挫折撲滅をサポート。

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