SQLiteデータベースをSQL文を使わずに、Dartだけで簡単に使えるパッケージで好評の「Moor」ですが、なんとつい先日の2021年10月12日に、突然名称が「Drift」に変更されました。
パッケージ名の変更というのは、我々使う側にとっては依存関係の再設定が必要になるので全然うれしくない話です。
当然パッケージの作者であるサイモンさんも、そんなことはご存知だと思うのですが、ではなぜ彼は突如「Moor」から「Drift」に名前を変えてしまったのでしょうか。
実は、その理由をパッケージのサイトで説明してくれているのですが、それが結構驚きの内容だったのです。
Moor has been renamed to
drift
. The reason for this is that, in some parts of the world, moor may be used as a derogatory term. I have not been aware of this when starting this project, but we believe that the current name does not reflect the inclusivity of the Dart and Flutter communities. Despite the associated effort, I’m convinced that renaming the project is the right decision.(「moor」は「drift」に改名しました。その理由は、世界のいくつかの地域では、「Moor」が軽蔑的な言葉として使われている可能性があるからです。このプロジェクトを始めるときにはこのことを意識していませんでしたが、現在の名前はDartとFlutterのコミュニティの包括性を反映していないと考えています。関連する努力は必要ですが、プロジェクトの名前を変更することは正しい決断だと確信しています。)
なんと、「Moor」という単語が一部で差別的な表現とみなされる可能性があるということらしいのです(内容は以下の動画で説明しています)。
もちろん、サイモンさんはそんなことを意図したわけではありません。
「Moor」というパッケージ名は、Androidの世界で同じ機能が実現できるライブラリとして先行リリースされていた「Room」を逆にしただけなので、サイモンさん自身も「まさか!?」という感じだったのではないでしょうか。
パッケージリリースから2年以上経ってからいきなり問題として浮上するところに一抹の不可解さを感じますが、おそらく昨今の事情等から名称変更せざるをえない何かがあったのかもしれません。
非常に洒落たネーミングだったので、今般のパッケージ名変更はとても念な話ではありますが、使い方等は「Moor」時代とほとんど同じようにしてくれているので、今後もみんプロ式の講座では、「Drift」に名称変更された「Moor」を引き続き使っていきたいと思います。
(注)みんプロ式のFlutter講座では、初級編及び中級編1において「Moor」パッケージを使用しておりますが、今般の「Drift」への変更対応は完了しております。
(詳しくは、以下の動画で説明していますので、よろしければご覧下さい)