これ一本でiOSアプリもAndroidアプリも”いっぺんに”作れる、今最も注目のアプリ開発ツール「Flutter(フラッター)」。
実はこれ、Googleが作ったツールなんです。
ご存知の方も多いかも知れませんが、GoogleというのはAndroidスマホの元締めですよね。AndroidのOSの開発元なんです。
実はAndroidのOSの入っているスマホというのは、実に世界の何と4分の3(約75%)というシェアを持っている。
世界全体でスマホって、実に40億台くらいあるんです。
その40億台中の4分の3ということなので、だいたい世界のスマホの30億台はAndroidが搭載されているという、とんでもないことになっているんですね。
ですから、スマホの世界ではGoogleが独占的な地位を占めていると言ってもいい状況なんです。
そんな状況であるにも関わらず、なぜGoogleはAndroidアプリもiOSアプリも”いっぺんに”作れる「Flutter」という開発ツールをわざわざ作る必要があったのか
という話なんですね。
(動画でご覧になりたい方はこちらから)
Googleは今のスマホの世界ではなくて5年先を見据えている
これは、Google先生は公には何も言っていないので憶測の部分が多いのですが、彼らが「Flutter」をわざわざ作ったワケは、
実は、Google先生は今のスマホの世界ではなくて5年先を見据えているから
という話なんですね。
では、彼らの見据える「5年先」とは一体どういう姿なのか。
それがこれなんです。

この記事によれば、なんとGoogleは
Google’s Fuchsia OS may replace Android in 5 years
(Googleが開発している次期OS「Fuchsia(フクシア)」が今後5年でAndroidを置き換える「かもしれない」)The end goal is to have Fuchsia on phones, computers, smart speakers, and more.
(「Fuchsia」を電話だけじゃなくてコンピューターやスマートスピーカーとか色んなものに載っけてやれ)
ということを目指しているということなんですね。
では、Googleが開発している次期OS「Fuchsia(フクシア)」とは一体何者なのでしょうか。
突如登場したGoogleが開発する次期OS「Fuchsia(フクシア)」とは
「Fuchsia」は一応サイトはありますが、ほとんど何もないまっさらの状態。
なので、Wikipediaに飛んでみます。
Fuchsia (フクシア) とは、
Googleが開発中のケーバビリティのコンセプトに基づくオペレーティングシステム (OS) である。
【参考】Google Fuchsia
https://ja.wikipedia.org/wiki/Google_Fuchsia
ということなんですが、面白いのが、
公式な告知も一切なく、2016年8月に突如としてGitHubにプロジェクトが公開されたことで最初に世に知られることとなった。
ということなんですね。
(GitHubとは、ソースコードが保管できるストレージのようなもので、プログラミング版Dropbox的なものをイメージしてもらえればよろしいかと思います)
実は、このGitHubにソースコードをあげる際には、「公開モード」と「非公開モード」というのがあります。
今回のこの「Fuchsia」のプロジェクトも、世の中に知られる必要がないのであれば、別に公開する必要ないんです。
ところが、Google先生はこのプロジェクトを「公開」してるんです。何も言わずに。
これが、様々な憶測を呼んだわけです。
そんな中、ソースコードをメディアが精査してみたところ、
このOSが「車載インフォテインメント、信号機やデジタル時計などへの組み込みシステムから、スマートフォン、タブレットやPCまで」を含む幅広いデバイスで稼働できる能力があることを示唆していた。
つまり、色んなものに使えるということがわかったんです。
でも、Googleから何のアナウンスも無いので、全貌が全くわからない。
だから、その後しばらく何も音沙汰がなかったので、みんな
「これはただのゴミなのか!?」
と思ったんですね。
Googleが「Fuchsia」というプロジェクトに込めた壮大な野望
ところが、そんな矢先の2017年、ついにGoogle先生が重い口を開きました。
そして、その口から出てきた言葉はなんと
「これは玩具でもなく、20%ルールによるプロジェクトでもなく、誰にも顧みられることのない残骸置き場でもない」
と。つまり「ゴミちゃうで」という衝撃のアナウンスだったのです。
「ええ〜っ!じゃあコレ一体何やねん!?」
ということで出てきたのが、さきほどの記事なんです。

ということは、この「Fuchsia」というのは、
スマホだけじゃなくて、色んなデバイスで使えるOSを目指してるということだったら、これから「Fuchsia」でAndroidを置き換えていくんですか??
という憶測を呼んだわけなんですね。
では、なぜGoogle先生はこんなことをしようとしているのでしょうか。
今、「IOT:Internet Of Things」と言って、モノにインターネットをつなげるという動きが、今後進んでいくと言われています。
そうなると、これからどんどんと「モノ」にコンピューターが搭載されていくようになる。
ということは、その「モノ」を動かすためのオペレーティングシステム(OS)が必要になってくる。
ところが、今は
・パソコンであれば、WindowsやMacOS
・スマホであれば、AndroidやiOS
など、端末・デバイスによってOSがコロコロ変わる状況になっている。
それを、
どんな端末・デバイスでも共通して動かせるOSを作りたい
という壮大な野望のもとに、Googleはこの「Fuchsia」というプロジェクトを始めたようなんです。
そして、そのことを何とGoogleの内部の人が匿名でリークしちゃってるんですよ。
Ultimately the team [Google’s Fuchsia team] aspires to swap in their system for Android, the software that powers more than three-quarters of the world’s smartphones, said the people, who asked not to be identified discussing internal matters. The aim for this is to happen in the next half decade, one person said.
「GoogleのFuchsiaチームは、最終的に世界のスマホの4分の3以上のシェアを占めるAndroidのシステムを(Fuchsiaに)置き換えることを熱望している」と匿名であれば話してもいいというGoogleの内部関係者が述べている。ある人物によれば、これを今後5年以内に起こしたいと(Googleは)考えているとのこと。(訳は筆者)
ですので、公にはGoogle先生は何も言ってませんが、こうやって徐々に徐々に自分の野望をリークし始めてるんですね。
Androidどうなるねん!?ほんまにFuchsiaに置き換えられちゃうの?
でも、本当にそうならビックリしますよね。
「えっ!?これAndroidどうなるねん!?ほんまにFuchsiaに置き換えられちゃうの??」
と。Androidって世界のスマホの30億台に入ってるんですよ。
これをGoogleが本当にFuchsiaに置き換えると言ってしまったら、とんでもないことが起こっちゃいますよね。
だから、Googleは否定してるんですよ。
Google says Fuchsia OS is not about replacing Android or Chrome OS
「いやいや、FuchsiaというのはAndroidとかChromeOSとかを取っ替えるもんじゃありませんよ」
と言って火消しに入ってるわけですね。
とは言うものの
「じゃあ、それならなんで『Fuchsia』なんて作ってんの?」
という話になりますから、おそらくこういう世界を今後Google先生は創っていきたいと思ってるんじゃないかということなんですね。
じゃあ、なぜ「Flutter」なのか。
「Fuchsia」と「Flutter」とは一体どういう関係にあるのでしょうか。
Googleが「Flutter」を開発した本当の狙い
実は、「Flutter」という開発ツールの本当の狙いは
FuchsiaのUIとアプリケーションは、Fuchsia以外にもAndroidとiOSを対象とするクロスプラットフォーム開発が可能な、Flutterと名付けられたソフトウェア開発キット (SDK) によって作成されている。
【参考】Google Fuchsia
https://ja.wikipedia.org/wiki/Google_Fuchsia
とあるように、
「Fuchsia」というOSで動くアプリを作るための開発ツール
ということが明らかになってきたんです。
ところが、「Flutter」というのは、もともと
AndroidアプリもiOSアプリも”いっぺんに”作れるようにするためのスマホアプリ開発ツール
として世の中に登場したんです。
それを証拠に、Flutterの公式サイトのトップページも、ものの数ヶ月前(2019年5月時点)まではこうだったんです。
Flutter allows you to build beautiful native apps on iOS and Android from a single codebase.
(Flutterを使えば、1つのプログラムでiOS・Androidの美しいネイティブ(スマホ)アプリが作れます)
ものの数ヶ月前は、Webとかデスクトップなんてことはどこにも書いていない。
あくまで、iOSとAndroid。スマホアプリを作るための開発ツールだとみんな思ってたわけですよ。
それが、たったの数ヶ月(2019年8月時点)でいきなりこうなっちゃった。
Flutter is Google’s UI toolkit for building beautiful, natively compiled applications for mobile, web, and desktop from a single codebase.
(Flutterは、1つのプログラムでモバイル(スマホ)・Web・デスクトップで動く美しいネイティブアプリを作るためのGoogleが開発したUIツールキットです)
マルチプラットフォームになっちゃったんです。
その先というのは、Webとかデスクトップだけじゃなくて、「モノ」にも行っちゃうで!と。
つまり、Googleはそもそも「Flutter」をただのスマホアプリ開発ツールとは考えていない
ということなんですね。
なぜかというと、「Flutter」の本当の狙いは「Fuchsia」で動くアプリ開発ツールだから。
スマホから羽ばたいて、あらゆるデバイスへ
そして、OSを取っ替えて、あらゆるデバイスが1つのOS(Fuchsia)で動くような、新しい未来をGoogleは考えているのではないか
ということなんですね。
これは、「may」ですから「かもしれない」なので、本当はどうかはわかりません。
Google’s Fuchsia OS 「may」 replace Android in 5 years (カギカッコは筆者)
ですが、徐々に表に出てきている情報・リークされている情報や、プロジェクトの進行状況を点を線でつなげると、こういう世界を考えているのではないかと考えれるんですね。
この「Flutter」という言葉は、ドイツ語かなにかで「羽ばたく」という意味があるらしいんですね。
ですから、はじめは「スマホアプリの開発ツール」ということで世の中に出てきたけど、いつの間にかWebにもデスクトップにも対応するようになっちゃった。
そして、そのうちもっと他のデバイスにも行きますよ、ということを示唆しているのではないか。
この「羽ばたく」という「Flutter」の言葉そのものがね!
という、何とも壮大なプロジェクトがこの「Flutter」の背景にあるんじゃないかという風に考えられるわけなんですね。
ですから、この「Flutter」という開発ツールを使いこなすことができれば、
いずれどんなデバイスでも動くようなアプリが作れるようになる可能性を秘めている
という意味で、非常に面白いんじゃないかなという風に思います。