自己肯定感というマインドが育まれると一体どうなるのかと言うと、「困難な状況に出会っても、自分の力で乗り越えられる」という、自分に対する信頼感を持つことができるということなんですね。
そうなると、「自分の心が満たされている」「自分はOK」だという感覚になりますから、そういう人というのは、自分はOKなので、他の人のために、何かをしてあげたいという気持ちになる。
これは、有名な「マズローの5段階欲求説」というのがありますけれども、人間の欲求というのは、まず生理的な欲求から始まります。
その次には、物質的な欲求(お金とかモノとか)に向かい、さらにその上には、誰かにOKをもらいたいという「承認欲求」が起こる。
そして、最終的には「自己実現欲求」というふうに、欲求のレベルが上っていくようになっている。
「他人に何かをしてあげたい」というのは、この5段階欲求説で言うところの「承認欲求」なり「自己実現欲求」にあたる。
つまり、自分が満たされる欲求である「生理的欲求」や「物質的欲求」よりも、上のレベルの欲求であるということなんですね。
あと、有名な仏教の開祖であるお釈迦様。
あの方は、産まれた瞬間に「天上天下唯我独尊」とおっしゃった。
これは、巷では「なんて偉そうなことを言ってるんだ」という風に解釈されることがあるようですけれども、本当のところはそうではないようです。
あの言葉の真意は、「自分のことはOKだから、私はもう人に与えるだけの人生で良い」という、自己肯定感を表しているということらしいんですね。
ですから、自己肯定感が身につくと、自分の心が満たされますので、「人のために何かをしてあげよう」という意識が自然と芽生えてくるということなのです。
つまり「人にやさしくなれる」。
まさに、これこそが自己肯定感を身につけることの最大の恩恵ではないかと思っているわけです。
今は「弱肉強食」の世の中と言われて、勝った者がすべてを分捕ったり、結果が手段を正当化するような、「自分さえ勝てばいい」という世の中だったりします。
しかし、そうではなくて、自己肯定感をきちんと育んで、困っている人に手を差し伸べることのできる心やさしい人が、世の中に10人に1人でも出てくれば、今世の中で起こっている問題というのは、ほぼすべて解決できるような気がします。
そういう意味でも、学歴や社会的ステータスも大事かもしれませんが、それ以上に自己肯定感をきちんと育む必要があるというのが、大人も子供も含めて、現代社会に生きる私達に課せられている課題なのではないかと思います。